HOME活動報告事業報告H23年度

平成23年度報告







調査場所 津球場公園、観音公園
調査日 1月17日
調査樹種 公園樹木
担当樹木医 児玉重信、石黒秀明
依頼内容 市街地の公園で樹木は繁り、公園がうっそうとしている。樹木の剪定方法、不用樹木の間引きについて指導してほしい。
調査・診断結果 津球場公園は4haある。球場ができて30年以上が経過し、当時植栽された樹木が大きく育ち、景観が悪くなっている。刈り込みがされてない無手入れ状態や、民家の電線と接触しているところ、いろいろの樹木が植栽されているところでは樹木の過密から枝張りが狭く、生育が抑えられた樹形になっているため樹木の移植、間引きを提案した。
観音公園は樹木の大きさからかなりの古い公園と思われた。民家沿いにケヤキ、クロガネモチが大きく育ち民家に枝が接触しているのが確認された。
川田公園は高木や中低木が植栽された小さな公園である。市民から落葉、日当たりなどの問題を受け、過去に太い枝抜きを行ったため、樹木本来の特徴が失われた。小面積の場所に高木性の樹木を放任状態で育成したことに問題がある。
これらのことより、民家の電線と接触している枝の除去、樹木の過密している部分の間引き、移植、剪定、周辺市民の迷惑にならないように高木樹木の移植または伐採などの指導をした。
 
 


調査場所 名張市中町
調査日 4月22日
調査樹種 クロマツ
担当樹木医 大石浩
依頼内容 クロマツの樹勢診断依頼
調査・診断結果 過去に枯枝からマツノザイセンチュウが検出されたとのことで、治療として樹幹注入が施工され、その後、枯枝の除去を行った。2010年秋に大量の落葉があったため、樹勢診断依頼をした。
樹勢はまずまずの状態で大きな問題ではないと判断された。樹冠下の大部分が舗装下にあること、腐朽が侵入していること、マツ材線虫病に感染している恐れがあること。
これらのことから、ベールマン法マツノザイセンチュウの検査を行ったが陰性であった。が予防措置のため周辺住民の理解を得て消毒を行う、針葉の込み過ぎている部分の剪定、土壌改良などの指導をした。





調査場所 熊野市木本町字千木地内 鬼ヶ城
調査日 5月23日
調査樹種 サクラ
担当樹木医 児玉重信、坂口卓也
依頼内容 サクラ林の健康診断と今後の管理について助言がほしい。
調査・診断結果 単一樹種による一斉造林地は、気象害や害虫病害を受けやすく、成功例はあまりない。この地域では立地、土壌条件が良く、クローン植林のため、生育差が生じなく全体的に成林していた。しかし、山頂部、中腹部で風当たりの強い場所や露出岩が多いところでの枯損木が確認された。
診断より、サクラの枯枝の除去、間伐、てんぐ巣病の枝の焼却処理などの指導をした。





調査場所 松阪市高杉町 高須町公園多目的広場
調査日 6月23日
調査樹種 ノムラモミジ
担当樹木医 大石浩、玉野隆
依頼内容 ノムラモミジの最適な管理方法と現場に適した樹種の選定。
調査・診断結果 植栽以来、毎年枯損の繰り返しで、去年も12本ほど枯損し、植え替えられている。深植えぎみの地際部を露出させ、排水のための溝を掘る作業が行われているが、枯損した個体が多く確認された。根っこを調査してみると、ほとんど発根がしてなく、水が溜まっていた。
調査より、土壌改良により、排水を整える。今の状態を維持するのが難しい。ノムラモミジから別の樹種への変換などの提案指導をした。





調査場所 多気郡大台町 大杉神社
調査日 6月24日
調査樹種 スギ
担当樹木医 浦口良太、中村昌幸
依頼内容 御神木の傷口にムネアカオオアリと思われる黒蟻が巣を作っているが今後どう対処したらよいか。
調査・診断結果 大枝の枯枝が4,5本確認されたが、樹冠上部の小枝、葉の状況を見る限り、急激な衰退による枝枯れではないと考えられた。調査依頼の発端になったアリの群れは調査時には確認されなかった。幹の打診を行ったら内部空洞の存在をうかがわせる異音が確認された。根元にアリによって排出されたと思われる木屑があり、付近にムネアカオオアリあ確認された。このアリは樹木の腐朽部分や根元などに巣を作ることが多いとされている。
調査より、ムネアカオオアリが幹の腐朽部に巣を作っているがこのアリは生きた材を食害することはないとされている。現状では倒木の危険性はないが将来、腐朽部が広がり倒木の危険性があると考えられた。今後も大切に保存していくために枝葉の状態、根元部を定期的に確認、枯枝の除去などの指導をした。





調査場所 亀山市関町中町 旧関宿
調査日 8月2日
調査樹種 ツバキ、ドウダンツツジ
担当樹木医 児玉重信、石黒秀明
依頼内容 葉に虫が付着しており、枯枝等により樹勢が衰えているが今後どう対処したらよいか。
調査・診断結果 ツバキの樹齢は推定30年前後で葉は小さく、着葉も少なく少し西側に傾いた樹形で根張りがなく幹を押すと簡単に倒木する不安定な状態であった。葉からはペスタロチア病も確認された。立地は日当たりが悪く過湿地でコケ類が地際部を覆っており、根系への透水性、通気性は悪く植樹環境は不良であった。
ドウダンツツジの樹齢は推定80年前後で葉枯れ、枝枯れが確認された。西日がよく当たり日焼け害を確認し踏圧害を受け根系の生育は思わしくなく考えられた。
診断より根の通気性の改善、倒木しないような支柱の設置、日焼け害の予防、殺虫剤の散布などの指導をした。





調査場所 多気町兄国黒田山
調査日 8月31日
調査樹種 サクラ、ケヤキ、クヌギ、トチノキ
担当樹木医 玉野隆、児玉重信
依頼内容 サクラの枝枯れや根部の腐敗等の調査依頼
調査・診断結果 広葉樹を6年前から毎年10本〜20本ずつ植栽され、古いものに関しては枝枯れ、倒木、虫害が発生しており全体的に成長不良の樹木が多く確認された。土壌は通気排水はとても悪くコケ類が生育していた。土からは土壌病害も確認された。トチノキに関しては植栽樹種選定が間違ってもいた。
調査より根系に病害が発生している樹木は伐採し根系も可能な限り撤去、病害発生地では土壌消毒、樹木の特性や生態を考慮し樹種選択をするなどの指導をした。





調査場所 伊勢市立高麗広公民館
調査日 9月8日
調査樹種 ソメイヨシノ
担当樹木医 浦口良太、中村昌幸
依頼内容 サクラの開花状況が悪かったがその原因と今後どう対処したらよいか。
調査・診断結果 ソメイヨシノは15本植栽されており、50年前後かと推測された。環境にもよるが樹勢のピークは過ぎ、これから衰退の傾向がみられる樹齢であると考えられた。葉の量・大きさ・色も樹齢から考えると普通の状況とも言えるが、枝枯れ、てんぐ巣病も多く確認された。てんぐ巣病枝には花芽はつかないため、樹勢の衰退とともに開花量の減少の理由の一つと考えられた。ソメイヨシノはヤマザクラなどと比べ短命な樹種なため、樹勢回復を促すことで延命効果をもたらすことは可能だが、最盛期のような開花量を望むのは難しいと思われる。
これらのことより、てんぐ巣病発生枝の処理、枯枝の処理、土壌改良、後継樹の育成、植樹などの指導をした。





調査場所 旧沼木幼稚園
調査日 9月8日
調査樹種 ソメイヨシノ
担当樹木医 浦口良太、斎藤靖浩
依頼内容 サクラの開花状況が悪かったその対処方法と今後どうしたらよいか。
調査・診断結果 ソメイヨシノの葉の量・色・大きさには問題はないように見えるが樹幹の輪郭を形成する枝先の部分の葉は、幹から成長した胴吹き枝樹冠の下枝の葉に比べて小さくなっている。枯枝も確認されてんぐ巣病の発生枝も確認された。





調査場所 伊勢市伊勢総合病院
調査日 9月9日
調査樹種 クロマツ
担当樹木医 大石浩、中村昌幸
依頼内容 枯れたクロマツの診断
調査・診断結果 8月初め、針葉の変色に気付いた。現在は全体の針葉が褐変している。幹や枝を調査した結果、マツノマダラカミキリムシの虫糞、産卵痕、食害の孔道、幼虫を発見した。また周辺のマツを含めて、葉枯性病害、マツカレハの食害、マツモグリカイガラムシ被害によるフラッギング(寄生を受けた枝先などが湾曲する)症状が見られた。 サンプルを採取し、マツノザイセンチュウの検査を実施したところ、幹および根の穿孔屑よりマツノザイセンチュウが検出された。
これらのことから、マツ材線虫病であることが間違いないため、来春4月末までに対象木を伐倒し、その枝や幹などは運び出してチップ化したり、薬剤による駆除を行う、周辺のクロマツへのマツ材線虫病の拡大を防ぐため、冬季に樹幹注入剤を施工、また来年5月下旬から7月上中旬にかけて脱出するマツノマダラカミキリ成虫を防除するため、薬剤散布、それ以外の病害虫については、特に防除対策は必要ではないと思われ、出来れば、総合的な防除として冬季にマシン油乳剤などを散布する。などの指導をした。





調査場所 伊勢市立二見浦保育園
調査日 9月9日
調査樹種 ビワ
担当樹木医 大石浩、石黒秀明
依頼内容 保育園の庭にあるビワの美の着果が少なくどうしたのか。
調査・診断結果 過去のビワの着果はよくわからなかった。今季は果実は着果したが、実が小さいうちに落下してしまった。特に以前と変わった管理を行っていない。落果後、枝の剪定をしたため現在は葉量がかなり少なくなっていた。早期落果は、一般に放任樹や樹勢の衰弱した樹などで発生し易いと言われていた。今回の症状について現状を見ただけでは判断がつかないが、樹勢衰弱〜早期落果の可能性が考えられた。
そのことから、根元周辺の盛土を除去し、埋没気味なのを改善、土壌改良、消毒などの指導をした。





調査場所 伊賀市上野公園
調査日 10月4日
調査樹種 公園内のサクラ
担当樹木医 石黒秀明、斎藤靖浩
依頼内容 上野公園内のサクラの健康診断
調査・診断結果 調査対象は、公園内に植栽されたサクラで、ソメイヨシノを主に約800本が植えられており、「全国お花見900景」に選定されているなど、当地域を代表する桜の名所である。しかし、現在では、その大半は樹勢衰退が進行し、樹勢の劣勢の樹木が優勢な樹木の日陰になり、成長の妨げ、観光客がサクラの根元を歩くことによる踏圧害。土壌が固結すると、根は正常な伸張、呼吸ができなくなり、生育阻害を起こす。一般的にソメイヨシノの樹齢は60年程度と言われており、特別な管理をしない限り、衰退傾向に向かう。
これらのことより、被圧の激しい場所は、日照を確保できるように、優勢樹木の枝下ろしを行う。時には伐採も止むを得ない。その際、固結した土壌を掘り起こし、ほぐす作業も同時に行うなどの指導をした。





調査場所 松阪市立第一小学校
調査日 10月18日
調査樹種 ラクウショウ
担当樹木医 玉野隆、斎藤靖浩
依頼内容 台風被害による枯枝落下に伴う安全対策と樹木の健康診断
調査・診断結果 地上20m以上の部位にある枯枝が、2回の台風襲来によってほとんど落下した。また、台風によって樹冠中ほどの枝が捩折れた太枝が途中に掛ったが、このことによってラクウショウの樹勢に影響は出ないと考えられた。今年度の2回の台風で、これまで不安定に引っ掛っていた20m以上の樹冠上部の枯枝が落下したことは、むしろ好都合であったともいえた。昨年の調査時に散見された撤去困難な高位にある枯枝は、目視の範囲ではほぼ無くなった。ラクウショウやメタセコイアは、落葉の特性として落葉期に葉と共に小枝ごと落下する。このことによる危険はないと思われるが、気になるようなら立ち入り禁止区域を広めに変えることも必要と考えられた。現在、ラクウショウの樹形は、天端もやや丸みを帯びて上部への成長限界にきていることが伺え樹形も横拡がりとなってきていた。今後とも強風の影響を受け易く、台風時には今回のような枝折れが発生する事が考えられる。台風時期には付近に立ち入らず、風下を通過する時は注意が必要と考えられた。。
これらのことより、現在でも残っている枯枝の撤去、枝下への立ち入り禁止のためのコーンの設置などの指導をした。





調査場所 厚生中学校
調査日 10月19日
調査樹種 ケヤキ
担当樹木医 浦口良太、斎藤靖浩
依頼内容 校庭のケヤキが例年に比べて早い時期に落葉している原因と対策。
調査・診断結果  樹冠はケヤキ本来の逆さホウキ状に樹高を伸ばした形ではなく、横に枝を広げた樹形となっていた。田に盛土した校庭に植え付けられたということから、根系は土壌の浅い部分に分布しているものと考えられた。 葉は全体的に枯れが目立ち、小枝の伸張量も少なかった。枯枝が数箇所に見られるほか、一部接触した交差枝が癒着のあと剥離し、傷ができた部分があるが、幹・枝とも他には特に大きな損傷や異状はなかった。
これらのことから、土壌改良、枯枝の除去、剪定による整姿、枝枯れ防止などの指導をした。





調査場所 松阪市笠松町
調査日 11月4日
調査樹種 カワヅザクラ
担当樹木医 中村昌幸、斎藤靖浩
依頼内容 農業排水路の両岸と市道沿いに植栽されたカワヅザクラを並木に仕立てる剪定ほかの指導方法。
調査・診断結果 立地条件は日当たりも良く良好であるが、エリアごとに土質の違いによると思われる生育の差が見受けられた。 前回の診断で指摘、指導した剪定が不十分で、適切に実行されていなかった。主幹となるべき幹が道路側へ傾いているものが多く見受けられた。前回にも見られた台木が強く伸長しているものが幾つか見つかった。
これらのことから、道路側へ伸びている主幹より太くなった枝の除去、伸びている台木の除去、生育が極端に悪いものへの施肥などの指導をした。





調査場所 志摩市阿児町国府地内
調査日 1月13日
調査樹種 森林造成
担当樹木医 浦口良太、石黒秀明
依頼内容 防風・防潮機能を持った海岸林として育成したい。クロマツを使用せず、地域在来の広葉樹を主体とした森林としたい。植栽する樹種と植栽方法についてアドバイスの依頼。
調査・診断結果




   
このページのトップへ
Copyright © 2010  *日本樹木医会 三重県支部*  All rights reserved.